もともとは川越の老舗のでんぷん屋だったという意外な社史をもつ内田産業。高度成長期で時代が大きく変わっていく中で住宅の塀に使われたコンクリートブロックの製造から、建設業、そして工務店へと姿を変えていった。今の社長の内田嘉哉氏は三代目になる。

そんな内田産業が現在取り組んでいるのが、建築家との家づくりの新しい需要の創造である。家づくりといえばキノイエセブンのような設計事務所に依頼する家づくりと、工務店に依頼する家づくり、ハウスメーカーに依頼する家づくりといったように、大きく3つに分けられる。しかし内田氏は「建築家住宅と工務店に依頼する住宅の間に潜在的な需要があると思うですよ」と語る。つまり建築家がつくるこだわりの家に暮らしたいけれど、なにもかもをこだわると当然それなりの価格になってしまう。そこまでこだわらなくてもいいという隠れた需要があるということ。「そこを“前向きに妥協”していくような家づくりがあると思うのです。お客さんは、どこを妥協すればよいのかなんてわからない。そこに、こんな妥協はどうですか?とおすすめするような家づくりがあってもいいのではないかと」

そこで誕生したのが内田産業が展開する家づくりのブランドである。設計事務所とつくる家づくりではあるが、標準仕様を採用したり、工期短縮や、打合せの簡略化など、家の質を落とさない、さまざまな合理的なコストダウンをすることで、だ。ブランドメッセージは「あきらめない人の、iest」。

この新ブランドを西東京エリアで本格的に展開していくために、2015年には実際にブランド契約した建築家が設計した“家”を西東京営業所として構えた。1Fはオフィス。2Fは新ブランドのギャラリーとして、建築家住宅のモデルハウスとして、また建築家が提案する住宅の模型や新ブランドのコンセプトを展示したパネル等、ギャラリーとして、さらには建築家が自ら講師を務める家づくりセミナーなどがここで開催される。

こうした内田産業のブランド戦略には、満足できる家で暮らすよろこびを広めたいという強い思いがある。決して利益がでやすいビジネスモデルではないが、大満足してもらうことで支持され続けていく家づくり。そんなブランドポジションを目指している。

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質の高い建築家との家づくりの、新たな入り口として新ブランドを発展させたいと語る内田嘉哉氏。


「あきらめない人の、iest」をブランドメッセージとした新ブランドのコンセプト(クリックで拡大)。


契約建築家が設計した内田産業西東京営業所。そのまま新ブランドの家のモデルハウスにもなっている。


オフィス2Fは新ブランドのギャラリー」となっており、パネル展示、建築家の模型展示などが観られる。


見かけは家にしか見えないが、1Fはちゃんとオフィスになっている。


オフィス横に置かれた物置では、新築・リフォームの施工の際に出た木材の切れ端を「無料木材提供」している。