いうなれば親子鷹のような工務店なのである。父、嶋崎元氏は建築家からも評判の腕を持つベテランの大工。息子、嶋崎恵一氏は株式会社住み家の経営者として、発注から見積もり、事務、現場監督までこなし、手が足りない時は自ら大工もこなすというマルチな役割を担っている。住み家がこだわりの建築家から多くの支持を集めているのも、腕前の確かさはもちろんであるが、親子ならではのコンビネーションの良さが仕事に表れているということもあるのだろう。たぶん本人たちは気づいてないだろうけれども。


「私がこの世界に入ったのはまだ金物なんてほとんどない時代でしたから、手刻みでの軸組が当たり前。のみや鉋のような道具だって、刃を買ってきて柄や台は自分でつくっていましたから。そうするといろいろとわかってくるんです。のみの柄に角度をつけると奥まで届くとかね。」と嶋崎元氏。こういう感覚は現代の大工にはないものだろう。手仕事に対する自信がうかがえる。若い頃から建築家からのご指名が多かったことに納得できる。
一方、二代目の嶋崎恵一氏は「木の家って、木という人にやさしい素材の魅力が味わえるものだと思いますが、それとは別に、祖父が林業をやっていたことから木の家を建てることによって山から街へと経済を循環させたいという想いがあるんです。ですから、製材所や木材市場と直接おつきあいもしていて、なるべく山にお金を落としていきたい。そのために、もっとがんばらなくてはと思っています。」


木の家づくりの匠の技を現代に伝える父と、木の家を建てることで、山から街へと“木の恵み”をまわしていきたいと思う息子。キノイエセブンにとっても、なんとも頼もしい存在といえるだろう。
住み家が三年前に建てた家を見学させてもらった。土間や縁側、藁入り砂漆喰など昔の民家のような雰囲気をもつ現代住宅で、杉材の使用箇所にこだわった、木の魅力あふれる家だ。精緻な木組みはもちろんのこと、「蔵戸を使った玄関建具」や「ハンダのドライウオッシュの土間」「渡りあご」「藁入りかき落とし」「土壁」など、いたるところに大工や左官の職人の技がいかされている。また、玄関には施主さんが子どもの頃に使っていた鯉のぼりの竿が桁として組み込まれていた。技やこだわりがそのまま家の魅力につながっている、住み家の家づくりを雄弁に物語った家だった。


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左が評判の腕の持ち主である大工の嶋崎元氏。右が住み家社長の嶋崎恵一氏。


私の時代には金物もなく、道具も手づくりでしたから、いろいろ学べましたと、元氏。


ああ、あの家も嶋崎さんのお仕事でしたか、と、話が盛り上がる。さすがは評判の大工である。


お客さんに木組みの仕組みを説明するための木組みサンプル。手仕事ならではの精緻さだ。


自作の墨壺。表には亀の彫り物がほどこされ、裏にはつくった日付と名前が刻字されている。


玄関には施主さんが子どもの頃に使っていた鯉のぼりの竿が桁として組み込まれている。