2018-05-29

「プリミティブな家」

小野さん設計の住宅を訪ねたのは4月の半ば、大型連休の直前でした。新緑の少し手前、というタイミングでしょうか。それでも緑のパワーを感じ始める時期でした。今回の住宅は八王子ICからしばらく車を走らせ、住宅と畑が混在するような場所に建っていました。「ここにこんな建物が建っていると良いな」と感じる、ロケーションと建物がとてもマッチしている印象を受けました。

【緑に囲まれた中に建つ切妻屋根が美しい単純形態の住宅です】

■敷地と外観の関係性

建物は9100×5460の長方形を基本とし、800の庇を出した素朴で単純な形をしています。バルコニーを設けず「切妻屋根」が緑の中に佇む姿は建築の力強さを感じます。外壁は「ガルバリウム鋼板」のこげ茶色の小波板で、コーナーやサッシ周りの納まりに気が遣われていてスッキリ見せる工夫が感じられました。余計な要素を省くことで周囲の緑と調和が取れているように思いました。こげ茶色のセレクトも上手くいっているようですね。

【キッチンからの視線。左が玄関で右が和室】

【階段の奥を利用して本棚が設えてあります】

■玄関土間と視線の行方

玄関扉を開けると同じレベルで土間になっていますが、その視線の先に4.5帖の和室がつながり、横にリビングダイニング、キッチンと生活エリアが配置されています。更に視線を上に向けると吹抜で2階ともつながっていました。つまり玄関土間を含めて生活エリアがワンルームのように連続しています。風通しが良く、光の廻り込みもキレイな印象です。玄関と一体だと寒さが心配ですが「薪ストーブ」もあり、寒さ対策もバッチリです。この住宅の特徴のひとつだと思いますが、視線の流れがとても心地よいと感じました。どの方向を見ても窓の外の緑が見えます。薪ストーブの位置も良く、炎を見ながら横の窓から外の景色を望めますし、吹抜上部から青空も飛び込んできます。階段の奥に本棚が作られており、自分のお気に入りの本を見ながら階段を登ったり降りたりできて嬉しくなりそうです。

【子供室。正面に緑を望む窓で右が吹抜】

■コストコントロールと将来対応のプラン

2階は吹抜に面したスタディコーナーを中心に、主寝室と納戸、子供部屋、トイレで構成されています。子供部屋は将来的に区切ることが出来るように、柱や梁でエリア分けが出来ています。必要な時に壁の増設工事が簡単にできるような配慮でしょう。2階エリアは仕上げ材料にラーチ合板やビニルクロスを使用していますが、無垢の構造材を真壁的に見せることでローコストな材料が自然な雰囲気に仕上がっているように感じました。床の杉材とラーチ合板の節が連続し同化しているところも、そのように感じさせる理由かもしれません。

【ダイニングの上部は吹抜です。薪ストーブが見えます】

■生活が見える家

ワンルームな構成の家ですが、障子などで適度にOPEN・CLOSEを切り替えることができ暮らしやすそうです。また楽しい生活が想像できる家だな、、、、と思いました。土間にはピアノが置かれる予定だそうで、家族が集う様子が目に浮かびます。薪ストーブや外の風景が+αの快適さを加えてくれそうです。

 

(設計:小野育代建築設計事務所・小野育代/レポート:BUILTLOGIC・石黒隆康/掲載の写真は新澤一平さんの撮影です。)

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